杭抜きハンドブック

Handbook(工事編)

III. 工事編

❶ 杭抜き工事の準備として何が必要か?


  1. 削孔水、ケーシング洗浄、注入材の混練などに必要です。工事規模により必要量(50-200㎥/日程度)をご用意ください。水槽などでも対応しますが、ヤードの関係で複数台設置できない場合は、外部からの調達になってしまい費用がかかりますのでご注意ください。工事用水の不足は出来高に大きく影響します。十分な水量を確保してください。
  2. 仮囲い、飛散養生
    近隣への飛散防止に必要ですのでご用意ください。通常の万能板程度が最低限必要です。近接状況によってはさらに高い養生が必要となる場合があります。
    ※杭抜き工事では基本的に風管(ジャバラ)養生はできませんのでご了承ください。
  3. 足元地盤改良
    重機の転倒防止に必要です。既存杭引抜工事の多くは構造物の基礎を解体した後の施工となります。基礎解体時に掘り起こされ、埋戻しされた地盤での施工です。重機の転倒災害防止の為にも地盤改良は必ず行ってください。
  4. 杭芯だし
    既存杭の位置は事前に(解体時など)正確に杭中心位置の測量を行ってください。埋め戻した後、地盤上に杭芯棒などで明示してください。

❷ 杭抜き工事の品質管理とは?

❷-1 PG工法の埋戻し充填方法

PG工法の埋戻し注入に使用する充填材はCB充填材です。
流動化処理土では

  • 施工に合せたタイムリーな注入ができない
  • SGポンプの使用不可(他のポンプでは脈動が大きく流量管理が不正確)

これらを考慮し、PG工法ではCB充填材を推奨しています。
注入方法は、ケーシングと杭を同時に引き上げながら最深部より注入を行い(同時注入方式)、抜き孔全長にわたり均一な充填を行います。

❷-2 PG工法用に開発された充填材DN-S

PG工法ではノンブリージング材を用いた新しい充填材も使用できます。ブリージングしないことにより深度方向により均ーな強度が期待でき、引抜き孔の陥没対策としても有用です。
また早期ゲル化·早期強度の発現効果もあり、地下水による充填材の浸食を早期にくい止めることや、局辺地盤への影響も低減できます。DN-SはCB充填材の混和材として使用します。
※DN-Sの使用は特許です。

❷-3 PG工法の施工管理とは?(統合施工管理装置)

PG工法では施工管理装置を用いた一元管理を行います。

●システム概要
「PG工法施工管理システム(KHK-02)」はこれまでの施工では分りにくかった地盤や施工の状況、また充填材の注入状況をリアルタイムで確認、施工に直結することができる「施工の見える化」を実現。
本システムの使用により施工品質管理の信頼性がより向上し、総合的な施工記録を収集することが可能になります。
PG工法施工管理システム

● 測定項目

測定項目 目的
時間 施工サイクルの把握
深度(m) 削孔深度及びリアルタイムな必要注入量の計算・表示
速度(m/min) 適正な施工サイクルの確認
流量(L/min)
削孔水
削孔時の流量管理
流量(L/min) 
注入材
注入時の流量管理
電流(A) 地盤状況の確認

● 地盤状況の確認
電流値は、ある区間を掘削するのに要したエネルギーを単位時間あたりに評価するため、地盤の硬軟に近似した変化を示します。電流値の軌跡により地盤状況を確認します。ただし、電流値とN値との相関関係は必ずしも比例するとは限りません。

● 施工状況の管理
「PG工法施工管理システム(KHK-02)」では、地盤状況だけでなくその他、施工管理に有益な情報を一元管理にて、リアルタイムの測定、表示、記録が可能です。測定、表示項目は上記表により、発注者及び後施工に関わる関係者に適切な情報をご提供します。

● 「PG工法施工管理システム(KHK-02)」の特徴

  1. 施工管理・品質管理の信頼性の向上。
  2. 施工状況をリアルタイムで確認。(施工の見える化)
  3. 埋戻し充填材の注入量の計算等の面倒な作業が無く現場管理業務の簡略化。
  4. 現場で保存した計測データを基に帳票作成(結果及び結果グラフの表示・印刷)が可能。
  5. 後の土地活用に有益なデータを提供。

❷-4 MEGA-PG工法の充填材注入

MEGA-PG工法の埋戻し充填材もCB充填材が標準仕様となります。

<エアブロー及びエアリフト工法>
MEGA-PG工法の埋戻し注入では

  • ケーシング引き上げ時注入
  • 杭引上げ時注入

の二工程の注入を行います。どちらも施工管理装置を使用し、リアルタイムな注入管理ができます。