杭抜きハンドブック
Handbook(計画編)
杭抜きの計画・見積もり・工事まで詳しく紹介
杭抜きをお考えの際にお役立てください。
❶ 杭抜き工事の目的とは?
既存杭を引き抜く目的は、主に以下に示す3通りが考えられます。
- 地中障害物を撤去して更地にかえす
- 新規工事の計画があり、既存杭が新設の杭や山留に干渉するので引き抜く
- 地下利用の障害になる(トンネル工事など)
❷ 杭抜き工事の計画とは?
上記3通りのどの目的にも共通していえることは、既存杭を地中から確実に抜き去らなければならないということです。
さまざまな引き抜き方法がありますが、より確実に杭を地中から引き抜くことができる工法を選択してください。
もうひとつ注意しなければならないことは引き抜いた後の孔の状態です。引抜き孔の埋戻しでは多数のトラブルが発生しており、その対処費用も莫大な金額が必要になります。注入方法や注入材料、配合・強度をよく吟味する必要があります。
❸ 工法の選択
❸-1 既製杭の引抜き
既製杭(既製コンクリート杭・鋼管杭・松杭など)の引抜きにはPG工法を推奨します。
- φ1,500mmまでの既製杭に適用できます。
- PG工法では67Mまでの施工実績があります。
- 不健全な杭をより確実に引き抜く事ができます。
- PG工法では杭を引き抜きながら最深部より注入を行い、引抜き孔全長にわたり確実に充填材を注入することができます。
- 新設杭干渉部での引抜きでは、独自の注入技術により最も影響が出にくい工法です。
❸-2 現場造成杭の引抜き
大径の現場造成杭の引抜きはMEGA-PG工法を推奨します。
- PG工法の適用範囲外の造成杭に適用できます。
- 現在、φ1,700㎜まで対応可能です。
- 独自の注入技術により、引抜き孔全長にわたり確実に充填材を注入することができます。
❹ 埋戻し充填材に求められる性能・品質とは?
❹-1 目的から決定される充填材の性能とは?
引抜き孔に埋戻される充填材に求められる性能はそれぞれ目的によって変わります。
また、引抜き孔全長にわたり充填材が注入できることを前提としますが、充填材に求められる強度の目安はσ28=300~500KN/㎡であり、引抜き孔での目標値はσ28=150~500KN/㎡程度です。
- 一般部(土地の利用計画が1ヵ月以上先の場合など)
孔内強度でqu28=150~500KN/㎡が標準となります。 - 干渉部(土地の利用計画が1ヵ月未満の場合など)
1ヵ月以内に土地の利用計画があり、引抜き孔に関連した箇所で何らかの作業が行われる場合は、その作業日までに一軸圧縮強度150~500KN/㎡を引抜き孔内に発現させる必要があり、早期強度発現材料などを使用することも検討しなければなりません。 - 新設杭干渉部
新設杭干渉部では、新設杭の打設工法から指定される性能・強度を満たす充填材を選択する必要があります。
❹-2 充填材注入量の算出法は?
基本的な埋戻し充填材の注入量はPG工法・MEGA-PG工法ともに、ケーシング外径体積量の100%です。
● PG工法
PG工法では、ケーシング内の土砂を杭と同時に引き上げる可能性があるので、ケーシング外径体積量を注入量の基本とします。特に新設杭干渉部では必ずケーシング外径体積量の注入を行ってください。
❺ 埋戻し充填材の選択方法は?
埋戻しには大きく分けて三種類あります。
- 土砂(砂)
土砂での埋戻しは、トラブルの元となるので推奨できません。杭を引き抜いてからの投入となりますし、また充填しながらの転圧等も不可能ですので埋め戻し不良の原因となります。 - 流動化処理土
一般的に採用されています。流動化処理土は生コンクリートのように外部からの搬入となりますので、現場施工に合せてタイムリーに打設することが難しくなります。場所(地域)によっては、かなりの施工ロスが発生します。また工場により品質にもバラつきが多いのが現状です。 - 貧配合セメントミルク
一般的に採用されています。汎用のプラント設備にて現場で混練作成ができるので、施工に合せてタイムリーに注入することができます。品質も水・セメント・ベントナイトなどの配合管理にて均一な充填材を作成することが可能です。